iPhone13
を売りたい
最近は個人間取引も身近となり、不要なモノをフリマサイトで売却することが多くなってきました。
実は今回、とある事情で新品のiPhone13 mini
が手に入ったのですが1、単純に私の好みでは無かったのでどなたかに売ろうかと思いまして。2
不要なモノなので誰かに有効に使ってもらいという想いはある一方で、売るのもそれなりの手間がかかるのでどうせ売るなら高値で買ってもらいたいという想いもあります。
商売のプロでもない平凡な私にとって、適正な価格設定というのは非常に難しい問題です。 とはいえフリマサイトであれば、個人間の取引はオープンに公開されているので取引実績を参考にすることはできるのでは?
ということで今回は、適切な価格設定について少し考えてみました。
とにかくはじめます🍛
どこで売ろうか?
現在もっとも日本で利用されているフリマサービスは以下の順位だそうです。3 参考までに販売手数料も載せておきます。
順位 | サービス名 | 販売手数料 |
---|---|---|
1 | メルカリ | 10% 4 |
2 | ラクマ | 6% + 税 (= 6.6%) 5 |
3 | ヤフオク! | 8.8~10% 6 |
4 | PayPayフリマ | 5% 7 |
もっとも良く利用されているのはやはりメルカリのようで、利用者は単月で2,000万を超えているそうです😯8
今回はこの結果に基づきメルカリからデータを収集します。 とはいえスクレイピング等はおそらく禁止されていると解釈できますね。
その他、不適切と判断される行為(禁止されている行為) - メルカリ スマホでかんたん フリマアプリより
弊社が提供するインターフェイスとは別の手法を用いてサービスにアクセスすること
よって今回はメルカリが提供するWebサイトを通じて目視で取引情報を収集しました。 (実際にはサーバに負荷をかけない方法で効率化等はさせていますが)
価格分布を眺めてみる
データは2022/10月末頃に取得しましたが、取引は日々実施されているので毎日それなりに変動があります。
特にiPhone13
は発売されて間もないため特に大きく変動している気がします。
今回私が売却したいの商品はiPhone13 mini 256GB
の新品だったので、
iphone mini 13 256gb
のキーワードで検索し、さらに商品の状態として新品、未使用
を指定して対象データを抽出しています。
なおこのキーワードで調べても別の商品も引っかかるので、無関係な商品は適当にフィルタリングして除去しています。
とりあえず取得結果をプロットしてみると下図のようになります。
まず注意として横軸はメルカリ画面において「新しい順」で表示させた場合の画面表示順序なので、[完売済]に関しては実際に取引が成立した順番と考えてもらえれば良いかと思います。 一方で[販売中]の価格は日々変動するため、データ取得時点の参考情報として表示しています。
ついでに参考として定価である98,800円
のラインも合わせて表示しました。
[完売済]における取引価格は、時間とともに減少傾向にあることが分かります。 よって、まずは高く売るには早めに出品した方が良いことは分かりますね。
試しに線形回帰によって予測してみるとこんな感じです。
しかし実際にはこのまま時間が経って0円になるとはさすがに思えません。
つまり発売直後はプレミアム等が乗っかっており最も高くなり、時間とともにそのプレミアムが失われ、やがて一定の価格に収束していくものと思われます。
価格推移をモデル化
さすがに単純な線形回帰では無理があるので、少し工夫して以下の仮定のモデルを考えます。
- 時間
t
とともに現在価格y
がk
%の割合で減少し - 現在価格
y
が収束価格price
に近づくとその割合は徐々に小さくなる - ただし $y - price > 0$ とする
これを数式で表すと
$$ \frac{dy}{dt} = -k \cdot y(y - price) $$
そしてt=0
における一番最初の価格をinitial
とすると、この微分方程式の解はこんな感じでしょうか。
$$ y = \frac{price \cdot e^{k \cdot price \cdot t}}{e^{k \cdot price \cdot t} + \frac{price - initial}{initial}} $$
適当に数値を入れて実際に描画してみると、とりあえず想定どおりの曲線になっているので計算はあっているようです。
パラメータを推測
stan
を用いたパラメータ推定の結果を以下に示します。
パラメータ | Mean | MCSE | 50% | R_hat |
---|---|---|---|---|
割引率[%] | 0.39 | 0.002 | 0.347 | 1.00 |
初期価格(initial)[万円] | 9.339 | 0.009 | 9.403 | 1.00 |
収束価格(price)[万円] | 11.454 | 0.005 | 11.447 | 1.00 |
以下の初期価格と収束価格のサンプリング結果も参考に、とりあえず収束していると判断しました。
実際の価格分布にこの予測モデルをプロットしてみると…まぁなんとなく推定できていそうです。(そうか??)
とりあえずこのモデルを参考にするなら、iPhone13 mini 256GB
は定価を少し割り込んだ9.34万
ほどで下げ止まりそうです。
まとめ
というわけで今無理に慌てて売る必要はない。
と早めに結論付けておきます。
モデルの評価
ちなみにモデル構築後に発生した取引を含めて、改めて価格をプロットしてみた結果が以下です。
なぜか価格は少し上昇傾向に変わっていました。
つまりモデルの仮定が間違っていたということになるわけですが、まぁ当然ですよね。
やはり実際に売れた価格のみでは予測は困難で、その時点で出品されている商品数や販売中の価格も影響します。
他にも
iPhone
のカラーなど個人の好み- 実際に使用したユーザレビューの評価内容
- 公式ストアの入荷状況
など、色々と考慮すべき要素はありそうです。
もっと言ってしまえば、そもそもiPad
の場合は以下のような価格分布となっており、iPhone
の価格分布とは全く異なる性質を持っていました。
というわけで当初の価格モデルは、これ以上価格が下がってほしくないという私の希望をモデル化しただけというのが良くわかりました。
さらにその後
なおさらにその後、1ヶ月ほど経過した現在は以下のようになっています。
あれ、どうでしょうか?
やはり当初の価格モデルの推定通り、定価よりやや下の9.5万
ほどに落ち着いて来ました!
注意✋:もちろんこれは全くの偶然です9